2026/04/03
お知らせ
埼玉県さいたま市を拠点に全国の中小企業を支援するJinji Compass 社労士事務所です。
2025年4月・10月の2段階にわたり、育児・介護休業法が改正・施行されました。
今回の改正は、変更箇所が非常に多岐にわたっていました。
「4月の対応はした」「10月のことはまだ」という会社や、「改正があったことは知っているが、どこを直せばよいかわからないまま今に至っている」という会社が、現場では少なくありません。
施行から時間が経った今も規程を更新できていない場合、従業員から制度利用の申出があった際に正しく対応できず、「うちの会社は法律を守っていない」という不信感につながるリスクがあります。
採用・定着の観点でも、育児・介護への対応が整っていない職場は敬遠されやすくなっています。
この記事では、2025年の改正内容を整理し、就業規則・育介規程のどこを確認・修正すべきかを具体的にお伝えします。
最後に今すぐ使えるチェックリストもご用意しています。
今回の育児・介護休業法改正は、4月と10月の2段階で施行されています。
それぞれに就業規則の変更が義務となる項目が複数含まれており、「4月分だけ対応して10月分が漏れている」「名称変更はしたが対象年齢の修正を忘れていた」というケースが実務現場では多く見られます。
部分的な対応では不十分です。改正全体を網羅的に確認することが必要です。
「実際に育休を取る予定の従業員が出たので、急ぎで育児・介護休業規程を新しくしたい」
当事務所にも、こうしたご相談が少なくありません。
就業規則の改定は条文の作成だけでなく、過半数代表者への意見聴取・労基署への届出・従業員への周知まで含めると一定の時間がかかります。
申出があってから動き始めると、制度の準備が従業員の休業開始に間に合わないという事態になりかねません。
また、申出のタイミングで従業員がすでに育児・介護休業規程を確認しており、「この内容は法令と違うのではないか」と少し不安を感じている可能性もあります。
一方で、そもそも規程を見たことがないという従業員も多いのが実態です。
だからこそ重要なのは、会社側が主体的に規程を整え、従業員に周知することです。
「こういう制度があります」「こう使えます」と会社から道しるべを示すことは、従業員にとっての安心感に直結します。
育児や介護という人生の大きな局面を迎えた時に、会社が頼れる存在であるかどうかは、その後の定着・信頼関係にも大きく影響します。
申出が来てから整えるのではなく、整えた上で周知する。それが今、会社に求められる姿勢です。
育児・介護に関する制度は、従業員が申出をした時点で権利が発生します。
就業規則の記載が古いままでも、法律上の権利は存在します。
そのため、「規程に書いていないから認めない」という対応は通用せず、かえってトラブルを悪化させる原因になります。
また、行政指導の観点でも、定期的な監督署の調査で未対応が発覚した場合、是正勧告の対象になることがあります。
育児・介護との両立支援への関心は年々高まっています。
「育休が取れる会社かどうか」「子育てしながら働けるか」は、求職者が企業を選ぶ際の重要な基準になっています。
育児・介護への対応が整っている職場かどうかは、既存の従業員の定着にも直結します。
「この会社は制度がきちんと整っている」という安心感は、長く働き続けようという意識にもつながります。
法対応としてだけでなく、人材定着の観点からも規程整備をしっかりとすべきと言えます。
今回の改正は2段階で施行されています。それぞれに就業規則の変更が必要な項目が含まれています。
| 施行時期 | 主な改正内容 |
|---|---|
| 2025年4月1日 | 子の看護等休暇の拡充/所定外労働制限の対象拡大/介護休暇の要件緩和/介護離職防止のための雇用環境整備の義務化 など |
| 2025年10月1日 | 3歳〜小学校就学前の子を養育する従業員への柔軟な働き方措置の義務化/個別周知・意向確認の義務化 など |

以下では、就業規則への影響が大きい項目を中心に、変更前・変更後を対比しながら解説します。
今回の改正で最も変更箇所が多い項目です。名称・対象年齢・取得事由・除外規定の4点すべてが変わっています。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 名称 | 子の看護休暇 | 子の看護等休暇 |
| 対象年齢 | 小学校就学前まで | 小学校3年生修了まで(9歳に達する日以後の最初の3月31日) |
| 取得事由 | 病気・けが・予防接種・健診 | 左記に加え学級閉鎖等・入園(入学)式・卒園式への参加を追加 |
| 除外規定 | 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ②継続雇用期間6ヶ月未満 | 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ※②を撤廃 |

厚生労働省が公表している「育児・介護休業等に関する規則の規定例(令和8年3月作成)」では、以下のように示されています。
(子の看護等休暇)
第○条
1 小学校第3学年修了までの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、次に定める当該子の世話等のために、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護等休暇を取得することができる。
一 負傷し、又は疾病にかかった子の世話
二 当該子に予防接種や健康診断を受けさせること
三 感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話
四 当該子の入園(入学)式、卒園式への参加
出典:厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例(令和8年3月作成)」
自社の育介規程と照らし合わせて、4点すべてが最新の内容になっているか確認してください。名称だけ直して対象年齢の修正を忘れているケースが特に多く見られます。
取得方法や賃金について具体的に記載することも忘れないようにしましょう。
育児のために残業免除を請求できる従業員の範囲が広がりました。
| 改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 対象 | 3歳未満の子を養育する従業員 | 小学校就学前の子を養育する従業員 |
就業規則の「所定外労働の制限」条項で対象年齢を「3歳未満」と明記している場合は修正が必要です。
(育児・介護のための所定外労働の制限)
第○条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するため、又は要介護状態にある家族を介護する従業員が当該家族を介護するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。
出典:厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例(令和8年3月作成)」
子の看護等休暇と同様に、介護休暇についても労使協定による継続雇用6ヶ月未満の除外規定が撤廃されました。週の所定労働日数が2日以下の従業員を除外できる規定は引き続き有効です。
| 改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 除外規定 | 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ②継続雇用期間6ヶ月未満 | 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ※②を撤廃 |
この点は特に見落とされやすく、子の看護等休暇のみ対応して介護休暇の対応が漏れているケースが多く見受けられます。
子の看護等休暇と介護休暇、両方の条文を必ず確認してください。
介護休業や介護両立支援制度の申出が円滑に行われるよう、以下4つの措置からいずれか1つを実施することが義務化されました。
あわせて、介護に直面した従業員への個別周知・意向確認も義務化されています。就業規則にその手順を明記しておくことが求められます。
また、40歳前後の従業員への介護に関する情報提供も義務化されました。介護に直面する前の早い段階で制度を知らせることで、突然の介護離職を防ぐことが目的です。
2025年10月から、3歳以上小学校就学前の子を養育する従業員に対して、以下5つの措置から2つ以上を選択して講じることが義務化されました。
| 措置 | 内容 |
|---|---|
| ① 始業時刻等の変更 | フレックスタイム制・時差出勤など |
| ② テレワーク | 月10日以上取得可能なもの |
| ③ 保育施設の設置運営等 | ベビーシッター費用補助など |
| ④ 養育両立支援休暇 | 年10日以上・時間単位取得可能なもの |
| ⑤ 短時間勤務制度 | 1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの |

従業員は会社が選択した2つの措置の中から1つを選択して利用することができます。
どの措置を選択するかは、過半数労働組合または過半数代表者への意見聴取が必要です。
また、子が3歳になる前の適切な時期(子が2歳11ヶ月に達する日の前後1年間)に、対象従業員への個別周知・意向確認を行うことも義務化されています。
さらに、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮も義務化されました。
妊娠・出産等の申出時と、子が3歳になる前の適切な時期に、従業員の意向を個別に聴取し、その内容に配慮することが求められます。
以下の項目を自社の育児・介護休業規程と照らし合わせてください。1つでも未対応の項目があれば、早急な規程見直しが必要です。
1つでも未対応項目があった場合は、条文だけでなく運用や労使協定も含めて確認が必要になることがあります。
自社での判断が難しい場合は、専門家への確認が安全です。
規程の見直しが必要と判断した場合、以下の流れで進めます。

現在の育児・介護休業規程と、改正後の内容を条文ごとに照らし合わせます。
厚生労働省が公表している規定例(詳細版・簡易版)は、以下から無料でダウンロードできます。
▶ 厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533.html
変更が必要な条文を修正します。単なる文言の追記だけでなく、労使協定の再締結が必要な場合もあります(継続雇用6ヶ月未満の除外規定を削除する場合など)。
従業員10人以上の会社が就業規則を変更した場合は、変更後の就業規則と意見書(過半数代表者の意見を記載したもの)を所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。
変更した規程の内容を全従業員に周知します。掲示・配布・社内システムへの掲載など、従業員が確認できる方法であれば方法は問いません。
特に育児・介護中の従業員や、今後対象となる可能性がある従業員への丁寧な説明が重要です。
2025年の育児・介護休業法改正は、4月と10月の2段階で施行されており、就業規則への影響が非常に多岐にわたります。
改正内容が多いため、どちらか一方だけ対応している、あるいはまだ手をつけられていないという会社が多いのが現状です。
また、4月分の対応をした際に全項目を網羅できておらず、一部が漏れているケースも見受けられます。
就業規則の改定は、条文の変更だけでなく、労働基準監督署への届出や従業員への周知も必要になります。
改正内容が複数の条文にまたがるため、一つ一つ丁寧に確認することが大切です。
「どこから手をつければよいかわからない」「現行の規程が法改正に対応しているか確認してほしい」という場合は、専門家への相談が確実かつ最短の方法です。
当事務所では、2025年の法改正に対応した育児・介護休業規程の見直し・改定を承っております。
現状の規程を確認した上で、必要な修正内容をご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。