2026/09/04
法改正情報

この記事の要点
2026年7月1日、障害者の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられました。
対象事業主の範囲も常用労働者40.0人以上から37.5人以上に拡大しており、算定基礎となる労働者数が37.5人以上40人未満の中小企業が新たに雇用義務を負っている可能性があります。
まずは自社の算定基礎人数を確認することが第一歩です。
「障害者雇用は、ある程度の規模の会社の話だと思っていた」「以前確認したときは対象外だったので、今回も関係ないだろう」——こうした認識をお持ちの経営者・人事担当者は少なくないかもしれません。しかし、2026年7月1日から、その前提が変わっています。
障害者雇用促進法に基づく民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられたことに伴い、障害者を1人以上雇用する義務が生じる事業主の範囲も、常用労働者40.0人以上から37.5人以上へと拡大しました。
自社が対象かどうかは、単純な「従業員数」ではなく、「法定雇用障害者数の算定基礎となる労働者数」で判断します。ここには短時間労働者の扱いに注意が必要です。
| 労働者の区分 | カウント方法 |
|---|---|
| 週30時間以上勤務する労働者 | 1人としてカウント |
| 週20時間以上30時間未満の短時間労働者 | 0.5人としてカウント |
| 週20時間未満の労働者 | 原則カウント対象外 |
正社員だけでなくパート・アルバイトも含めて、上記の計算式で算定した労働者数が37.5人以上であれば、雇用義務の対象になります。パート・アルバイトの比率が高い会社は、単純な「頭数」よりも算定後の人数が少なく出ることもあるため、実際に計算してみることをお勧めします。
例:正社員30人(週30時間以上)+パート15人(週20〜30時間未満、0.5人カウント)の場合
→ 30人 +(15人 × 0.5)= 37.5人 → 今回の基準に該当します。
法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられたことに伴い、障害者を1人以上雇用する義務が生じる事業主の範囲も、常用労働者40.0人以上から37.5人以上に拡大しました。
そのため、これまで対象外だった企業でも、今回新たに雇用義務の対象となっている可能性があります。
算定基礎となる労働者数が37.5人以上に該当する場合、次は「何人の障害者を雇用する必要があるか」を確認します。
法定雇用障害者数は、算定基礎となる労働者数に法定雇用率(2.7%)を掛けて算出し、生じた端数は切り捨てるのが基本的な考え方です。目安は次のとおりです。
| 算定基礎となる労働者数 | 必要な障害者雇用人数の目安 |
|---|---|
| 37.5人〜74.0人 | 1人 |
| 74.5人〜111.0人 | 2人 |
| 111.5人〜148.0人 | 3人 |
※重度障害者のダブルカウントなど、算定にはいくつかの特例があります。正確な人数は個別に確認することをお勧めします。
上記の計算方法に沿って、自社が雇用すべき障害者数を確認します。境界線上にある会社は、今後の採用計画によって該当・非該当や必要人数が変わる可能性もあるため、定期的な確認が必要です。
既に障害者を雇用している場合は、現在の雇用人数が引き上げ後の法定雇用障害者数を満たしているかを確認します。精神障害者を雇用している場合、一定の要件のもとで算定上の特例が設けられている場合があるため、正確な人数把握には注意が必要です。
新たに対象となった場合、雇入れには一定の準備期間(求人・面接・受け入れ体制の整備等)がかかります。義務が生じてから慌てて採用活動を始めるのではなく、余裕を持って計画することが望まれます。
初めて障害者を雇用する場合は、担当業務や勤務時間、職場内のサポート体制などを整理しておくことが重要です。また、本人から合理的配慮の申出があった場合に、どのように相談・検討するかについても社内で確認しておきましょう。
なお、障害者を雇用すること自体を理由に就業規則の改定が必要になるわけではありません。ただし、実際の受け入れに伴い、短時間勤務制度を新設する、休暇制度を追加・変更する、既存の休職・勤務時間制度を変更するなど、会社の労働条件や制度そのものを変更する場合には、必要に応じて就業規則や関連規程の改定を行います。
雇用義務の対象事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークへ報告する義務があります(いわゆる「ロクイチ報告」)。今回の引き上げは2026年7月1日施行のため、2026年6月1日時点の報告では、引き上げ前の基準(2.5%・常用労働者40.0人以上)が報告対象でした。
自社が対象になるかどうか、まず確認したいという場合は、従業員数・雇用形態の内訳をお伺いした上で対象事業主に該当するかどうかを整理いたします。「まだ何も対応していない」という段階でもご相談いただけます。
月額5万円
常用労働者100人超の事業主が法定雇用率未達成の場合、不足する障害者1人につき課される障害者雇用納付金の額
常用労働者100人超の事業主には、法定雇用率を達成できない場合、不足する障害者数に応じて障害者雇用納付金が課されます。一方、常用労働者100人以下の事業主には、現時点で納付金の徴収はありません。
ただし、納付金の対象にならない規模の会社であっても、雇用義務そのものがなくなるわけではありません。達成できない状態が続くと、ハローワークからの雇入れ計画作成命令や行政指導の対象となる可能性があり、著しく低い達成率が続く場合には、企業名の公表という措置に至るケースもあります。
今回の引き上げにより新たに対象となった事業主は、これまで障害者雇用の実績・ノウハウがないケースが多くあります。
制度の存在に気づかないまま報告義務を怠ると、後から対応を求められることになりかねません。早めの現状確認が重要です。
障害者の法定雇用率は、社会情勢や障害者雇用の実態を踏まえて段階的に引き上げられてきました。
| 時期 | 法定雇用率 | 対象となる事業主の規模 |
|---|---|---|
| 〜2024年3月 | 2.3% | 常用労働者43.5人以上 |
| 2024年4月〜 | 2.5% | 常用労働者40.0人以上 |
| 2026年7月〜(現在) | 2.7% | 常用労働者37.5人以上 |
今回の引き上げは、令和5年の政令によりあらかじめ計画されていたもので、経過措置の終了に伴い2026年7月1日から適用が始まっています。国・地方公共団体(3.0%)、都道府県等の教育委員会(2.9%)についても、同時に引き上げが行われています。
障害者雇用は、単なる法令対応にとどまりません。多様な人材が能力を発揮できる職場環境を整えることは、人手不足が続く中での人材確保の選択肢を広げることにもつながります。まずは自社が対象に該当するかどうかを確認するところから始めてみてください。
障害者雇用への対応についてご相談ください
現在の従業員構成をお伺いし、対象該当の有無や必要な準備を整理してご案内します。初回相談は無料です。