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【2028年4月義務化】50人未満の事業場もストレスチェックが必須に|準備と対応のポイント

2026/08/28

法改正情報

【2028年4月義務化】50人未満の事業場もストレスチェックが必須に|準備と対応のポイント

📌 この記事のポイント

  • ・2025年5月の法改正により、50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化される
  • ・施行日は2028年4月1日と政令で正式確定
  • ・産業医がいない場合でも、外部機関への委託や地域産業保健センターの面接指導支援を活用して対応できる
  • ・50人未満では社内完結が難しいため、外部委託が現実的な解決策
  • ・今から準備を始めることで、義務化直前の混乱を回避できる

 

まず自社の状況を確認してください

 

以下に一つでも当てはまれば、早めに対応を始めることをおすすめします。

  • 従業員が50人未満で、これまでストレスチェックを実施していない
  • 産業医が選任されておらず、誰が実施者になるのかわからない
  • ストレスチェックの結果を誰が管理するか決まっていない
  • 高ストレス者が出た場合の医師面接の手配方法がわからない
  • 外部委託を検討しているが、業者の選び方がわからない
  • 社員のメンタルヘルス不調への対応に困った経験がある

はじめに|「50人未満は関係ない」が通用しなくなります

 

「うちは従業員が少ないから、ストレスチェックは関係ない」

「今まで義務ではなかったし、このままでいいだろう」

こうした認識を持っている中小企業の経営者・人事担当者は多いかもしれません。しかし、2025年5月に改正労働安全衛生法が公布され、この認識は大きく変わることになりました。

2028年4月1日から、常時50人未満の労働者を使用する事業場にも、ストレスチェックの実施が義務付けられます。2026年6月10日公布の政令により、この施行日が正式に確定しています。

2028年4月まで「まだ時間がある」と感じるかもしれません。しかし、実施者の確保・外部委託先の選定・社内体制や実施ルールの整備には一定の準備期間が必要です。特に50人未満の事業場では、社内だけで対応を完結させることが難しい場合も多いため、外部機関の活用方法を事前に検討しておくことが重要です。

この記事では、50人未満の事業場の経営者・人事担当者が今回の義務化を正しく理解し、無理なく準備を進めるための実務的なポイントを解説します。

 

義務化の経緯と施行日のタイムライン

 

ストレスチェック制度は2015年12月から、常時50人以上の労働者を使用する事業場に義務付けられてきました。50人未満の事業場は「実施するよう努めなければならない」という努力義務にとどまっており、罰則は設けられていませんでした。

これが変わったのが2025年です。

 

  • 2025年5月14日「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が公布・成立。50人未満の事業場へのストレスチェック義務化が法律上、正式に決定。
  • 2026年2月25日厚生労働省が「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表。準備のための具体的な情報が整備される。
  • 2026年6月10日施行期日を定める政令が公布。施行日が「2028年4月1日(令和10年4月1日)」と正式確定。
  • 2028年4月1日50人未満の事業場へのストレスチェック義務化スタート。2028年4月1日から2029年3月31日までに初回の実施が必要。

⚠️ 「2028年4月はまだ先」ではありません

外部委託先の選定や社内体制の整備には一定の準備期間が必要です。義務化直前になると委託先への相談が集中する可能性もあるため、余裕をもって準備を進めておくことをおすすめします。

対象となる事業場と労働者

 

対象事業場

 

「常時使用する労働者の数」が50人未満の事業場が新たに義務化の対象となります。判断は企業単位ではなく事業場単位で行います。

たとえば、会社全体の従業員が100人いても、各事業場の人数が50人未満であれば今回の対象です。本社・支店・工場等については、それぞれが独立した事業場に該当するかを踏まえて判断します。逆に、50人未満の事業場が義務化以前から自主的に実施している場合は、そのまま継続できます。

 

受検対象となる労働者

 

労働者の種別 受検対象の条件
正社員・契約社員等(期間の定めなし、または1年以上の雇用見込みがあり、週所定労働時間が通常の4分の3以上の者) 原則として対象
パート・アルバイト 契約期間1年以上(更新見込み含む)かつ週所定労働時間が通常の従業員の4分の3以上の場合は対象
派遣労働者 派遣元事業場に実施義務あり(派遣先が自主的に含めることは可能)

 

50人未満の事業場が直面する3つの課題

 

課題① 「誰が実施するのか」問題

産業医の選任義務がない50人未満では、実施者の確保が大きなハードル

ストレスチェックの実施者は、医師・保健師・厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師または精神保健福祉士でなければなりません。50人未満の事業場には産業医の選任義務がなく、社内に適切な実施者がいないケースが多数です。

解決策:ストレスチェックは外部機関への委託を検討し、高ストレス者への面接指導等では地域産業保健センターの活用を検討する。

課題② 「社長に知られたくない」問題

少人数の職場では個人が特定されやすく、従業員が正直に回答しにくい

ストレスチェックの結果は、従業員本人の同意なく事業者に提供することは禁止されています。本人の同意なく、社長・経営者が個人の結果を知ることはできません。ただし、少人数の職場では「誰が高ストレスかわかってしまうのでは」という従業員の不安が生じやすく、正直な回答が得られにくい面があります。

解決策:外部機関に委託することで、個人情報管理を社外に委ね、従業員の安心感を高める。

課題③ 「高ストレス者が出たらどうする」問題

医師面接の手配・配置転換など、対応が難しい

高ストレス者と判定された従業員が医師による面接指導を申し出た場合、事業者は面接指導を実施する必要があります。産業医不在の事業場では、この医師面接の手配が課題となります。

解決策:一定の要件のもと原則無料で利用できる地域産業保健センターの面接指導サービスを活用する。または、外部委託先が医師面接オプションを提供しているか確認する。

 

50人未満の強い味方|地域産業保健センターとは

 

地域産業保健センター(通称:地産保)は、産業医の選任義務がない50人未満の事業場を支援するために、全国の労働基準監督署の管内に設置されている機関です。サービスは原則無料で利用できます。

 

✅ 地域産業保健センターで利用できる主なサービス

・医師・保健師等による労働者の健康相談
・高ストレス者への医師による面接指導
・作業環境改善に関する相談・助言
・メンタルヘルス対策に関する相談・情報提供

⚠️ 地産保はストレスチェック自体は実施しません

厚生労働省のマニュアルに明記されている通り、地産保はストレスチェック(質問票の実施・集計・結果通知)自体は行いません。また、事業者がストレスチェックの実施者を地産保の登録産業医に依頼することもできません。

地産保の活用場面は、主に「高ストレス者への医師面接指導」です。ストレスチェックの実施は外部機関に委託し、高ストレス者が出た際の面接指導を地産保に依頼するという組み合わせが、50人未満の事業場にとって現実的な対応方法の一つです。

お近くの地域産業保健センターは、厚生労働省の「産業保健総合支援センター(さんぽセンター)」のウェブサイトから検索できます。

ストレスチェック実施の5ステップ

 

50人未満の事業場が義務化に対応するための基本的な流れを整理します。

1

導入準備

実施者・事務担当者の確保。外部機関への委託を検討。実施方法等について関係労働者の意見を聴取。社内ルールを整備する。

2

実施

年1回以上、質問票に回答してもらう。回答は任意だが、できる限り全員に受検を促すことが望ましい。

3

結果通知

結果は本人に直接通知。事業者への提供は本人同意が必要。高ストレス者には医師面接の案内を行う。

4

面接指導

高ストレス者で面接指導を申し出た従業員に医師面接を実施。地域産業保健センターまたは外部機関を活用。

5

集団分析・職場環境改善(努力義務)

集団分析を行う場合は、個人が特定されないよう配慮しながら結果を分析し、職場環境の改善につなげる。原則10人以上の単位で実施。

⚠️ 50人未満は労働基準監督署への報告義務なし

厚生労働省の小規模事業場向けマニュアルでは、50人未満の事業場について、ストレスチェック実施後の労働基準監督署への報告義務はないとされています。ただし、面接指導結果の記録は5年間保存が義務(集団分析結果は5年間保存が望ましい)とされています。個人のストレスチェック結果の保存は、外部委託の場合、委託先の外部機関が行います。

外部委託先を選ぶときの4つのチェックポイント

 

50人未満の事業場では、社内完結が難しいため外部委託が現実的です。委託先を選ぶ際は、以下の点を確認してください。

1実施者の資格・守秘義務の体制

委託先の実施者が医師・保健師等の有資格者であることを確認します。また、個人情報の管理体制・守秘義務の取り決めが明確になっているかを確認してください。従業員の健康情報を扱うため、情報管理は特に重要です。

2検査方法と質問票の内容

厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を使用しているかを確認します。独自の質問票を使用している場合は、法令上の要件を満たしているかを確認してください。

3高ストレス者への医師面接オプション

高ストレス者が出た場合の医師面接指導を、委託先が提供しているかを確認します。地域産業保健センターとの連携を前提とする場合は、その手順も事前に整理しておきましょう。

4費用の内訳と継続コスト

質問票の実施費用だけでなく、結果通知・集団分析・医師面接が別料金になっていないかを確認します。50人未満向けの小規模プランを用意している業者もあります。複数の業者を比較してから選定することをお勧めします。

ストレスチェックに関する社内ルールも整理しておきましょう

 

ストレスチェック制度を適切に運用するためには、実施方法や情報管理等について社内ルールを整理しておくことが重要です。必要に応じて、就業規則や関連規程の見直しも検討してください。

具体的には以下の点が規程に明記されていることが望ましいです。

  • ・ストレスチェックの実施に関する基本方針
  • ・実施者・事務担当者の役割
  • ・結果の取り扱い・個人情報の管理に関する事項
  • ・高ストレス者への面接指導の実施手順
  • ・面接指導の結果を理由とした不利益取扱いの禁止

 

⚠️ 不利益取扱いの禁止について

ストレスチェックの受検・結果の提供・面接指導の申し出を理由とした不利益な取扱いについては、法令・指針上、禁止または避けるべき取扱いが定められています。この点を社内ルールや就業規則に反映しておくことで、現場の誤解を防ぎ、従業員の安心感につながります。

▶ 就業規則の整備が必要な理由と整備を怠るリスクについては就業規則を作らないとどうなる?中小企業で実際に起きるトラブルと対策で詳しく解説しています。

▶ 就業規則の見直しにかかる費用・期間・流れについては就業規則の作成費用・期間・流れを社労士が解説|費用相場と依頼手順をご参照ください。

自社で何を準備すればよいか分からない場合

事業場の人数や現在の体制を確認したうえで、2028年の義務化に向けて必要な準備を整理します。「まだ具体的に何も決まっていない」という段階でもご相談いただけます。

▶ ストレスチェック義務化への対応を相談する

よくある質問(FAQ)

 

ストレスチェックを実施しなかった場合、罰則はありますか?

未実施そのものに直接的な罰則(罰金・刑事罰)は設けられていない方向です。ただし、実施後に必要な報告(50人以上の場合)を怠った場合は50万円以下の罰金の対象となります。また、ストレスチェックを実施せずに従業員がメンタルヘルス不調になった場合、事情によっては安全配慮義務との関係が問題となる可能性もあります。罰則がないからといって対応を怠ることは、経営リスクにつながります。

ストレスチェックの結果を社長・上司が見ることはできますか?

本人の同意なく見ることはできません。ストレスチェックの結果は、従業員本人の同意なく事業者に提供することは禁止されています。個人の結果を把握するためには、従業員本人から同意を得る必要があります。

産業医がいない場合、誰が実施者になりますか?

産業医以外にも、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士がストレスチェックの実施者になることができます。社内にこれらの有資格者がいない場合は、外部の実施機関に委託することが現実的な解決策です。また、地域産業保健センターに相談することで、実施体制について具体的なアドバイスを受けることができます。

パートやアルバイトもストレスチェックの対象になりますか?

一定の条件を満たすパート・アルバイトは対象になります。具体的には、契約期間が1年以上(または更新により1年以上雇用される見込み)かつ週の所定労働時間が通常の従業員の4分の3以上の場合が対象です。雇用形態だけで判断せず、個別の労働条件を確認することが必要です。

今すぐ任意でストレスチェックを実施することはできますか?

はい、できます。義務化前でも自主的に実施することは可能です。厚生労働省は2026年2月に「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しており、今から実施体制を整えて試験的に運用することで、2028年の義務化に向けた準備を着実に進めることができます。

ストレスチェックと就業規則の整備は、社労士に相談できますか?

はい、承っています。ストレスチェックの実施体制の整備、関連規程の作成・見直し、外部委託先の選定基準のご相談まで対応しております。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。

まとめ

 

  • ・2028年4月1日から、50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化される(政令で正式確定)
  • ・判断は企業単位ではなく事業場単位で行う
  • ・産業医がいない場合でも、外部機関への委託や地域産業保健センターの面接指導支援を活用して対応できる
  • ・基本的な流れは「導入準備→実施→結果通知→必要に応じた面接指導」。あわせて集団分析・職場環境改善にも取り組むことが推奨されている(努力義務)
  • ・ストレスチェックの個人結果を、本人の同意なく事業者に提供することは禁止
  • ・ストレスチェックの実施方法や情報管理等について社内ルールを整理し、必要に応じて就業規則・関連規程の見直しを検討する
  • ・2028年4月に向けて、今から準備を始めることが義務化後の混乱を防ぐ近道

ストレスチェックの義務化は、単なるコンプライアンス対応ではありません。ストレスチェックは、従業員自身のストレスへの気づきを促し、必要に応じた面接指導や職場環境の改善につなげるための制度です。こうした取組みは、働きやすい職場づくりやメンタルヘルス不調の予防、人材定着につながることも期待できます。

ストレスチェック義務化への対応についてご相談ください

  • ・「自社がどのような対応をすればよいか分からない」
  • ・「外部委託が必要なのか、まず判断したい」
  • ・「就業規則や社内規程を見直したい」
  • ・「高ストレス者が出た場合の対応方針を整備したい」

現在の状況をお伺いし、義務化までに必要な準備や今後の進め方を整理してご案内します。初回相談は無料です。まだ対応方針が決まっていない段階でもご相談いただけます。

▶ ストレスチェック義務化への対応を相談する

参考資料